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テスト一日目

 
 やあやあ、こんにちは。テスト一日目のHOMAです。


 今日の科目は、な、なんと・・・。


 数学A(ぐふぉ)、化学物理(げふ)、保険(ぎゃー)ってなかんじでした。


 うん。数学A。見事に沈没。どぼーん。


 化学物理。ものの見事に返り討ち。


 保険。もう、聞くなよ!


 とまあ、こんな感じ。


 化学の話だけど、友達に教えてもらった一価の塩基とか二価の酸とかの覚え方。


 そのさばくる(どのさばだ?)
 かばなく強塩基
 そしこさんおー(お~!)
 おーのさんくる

 のせいで、さばやらかばやらがテスト中に頭の中をくるくる回って問題を解くどころではなかったよ。


 でも、明日は休みさぁ。卒業式だからね。出る人、がんばって~ 。
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by sinsekaiheto | 2007-02-27 13:12 | 日記

 
 新しい詩をのせましょう。

 虹



遠くの空に、
虹を見つけた。
この空は、どこへ続いているのかと、
そんなことを考えていた。

雨が上がったら、
あの子が笑顔になった気がする。
鼻歌交じりの、スキップも、
まだ、僕の中に残っているよ。
消えてしまわないように、
そっと胸に刻むんだ。
あの日、あの時の、あの夕陽。
あ、心の中に、虹を見つけた。

土砂降りの雨の中に、
車のヘッドライトが通り過ぎる。
この道は、どこへ続いているのかと、
そんなことを考えていた。

僕の隣に、君はいなくて、
振り返った雑踏の中には、あの頃の君。
夜空に光る星たちを、
指でつなげて名前をつける。
あ、ここにもプラネタリウム。
めぐり続ける星空に、
僕らの未来を重ねて見てた。

どうして君が去っていったのかもわからない僕は、
いつまでだって、君の背中を捜し続ける。
この道が。
この空が。
君に続く、と信じてる。

雨が上がったら、
あの子が笑顔になった気がする。
鼻歌交じりの、スキップも、
まだ、僕の中に残っているよ。
消えてしまわないように、
そっと胸に刻むんだ。
あの日、あの時の、あの夕陽。
あ、心の中に、虹を見つけた。
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by sinsekaiheto | 2007-02-23 12:31 |

一週間ほどの更新停滞は麗しきかな。


 お久しぶりのHOMAです。


 テスト一週間前に突入しました。


 日々猛烈に勉強をしようと思う今日この頃。しかし脱力感が骨の髄までしみこんでる私には、いたって苦痛なテスト前の日々であります。


 さて、「まとも路線」でいく!と公言してから約一週間がたちました。


 友達には、「HOMAがまとも路線?えびが墨を吐くぐらい無理や」といわれ、また先輩には「まとも路線って言ってる時点で、もうまともじゃないって」といわれました。


 さて、効果のほどはどうなのでしょうか。私はまともになれたのでしょうか。


 一ヶ月前の宣言などどこ吹く風のHOMAでした。
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by sinsekaiheto | 2007-02-21 12:26 | 日記

英語の先生。


 今日リーダーのT先生が風邪でお休み。

 代わりにH先生がやってきた。


 うぉ!めっちゃわかりやすい。


 T先生には悪いけど、あの人に一度教えてもらったら、もう病みつきだね。



 T先生の風邪が直らないことを祈ります

 うわぁ~。でも本当にわかりやすくて。T先生の粗がめだってめだって。


 やっぱりH先生みたいに、じっくりと文章を咀嚼できる授業はすばらしいね。
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by sinsekaiheto | 2007-02-16 12:34 | 日記

ストレスマネジメント


 昨日の放課後は、ストレスマネジメントをした。

 ストレスマネジメントって言うから、なんだろうと思って参加したんだけど。

 なかなか面白かったかな。


 二人でペアになって、クライアント(相談者)とカウンセラーに分かれて会話をするんだけど。


 結構難しい。

 いい経験にはなったと思う。


 ストレスマネジメントで試したのは、「犬バラ法」

 この方法の特徴は、相談者が人間じゃない何かの悩みを相談すること。

 たとえば、「隣の犬がうるさいことに悩む犬」とか、「クリーナーで掃除してくれないことに悩む黒板消し」とか。


 はじめは笑ってしまったけどね・・・。


 まあ、何かの役には、たつかなぁ・・・。
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by sinsekaiheto | 2007-02-15 12:38 | 日記

バトン

 
 バトンが回ってきたので、それに答えようかな、と思い、答える・・・。


 
 1.理想の女性(男性)が記憶喪失で落ちている。

とりあえず、助ける、かな。そんでそのあと、「歯茎に、のり、ついてるよ?」とからかってみる。反応を返してきたら、警察に届ける。
 

 2.歩いていたらサインを求められた。


どんな人に求められたのか、にもよるね。おっさんとかだったら、とりあえず回避。コイン届けなら、即署名。

 3.引きだしからドラえもんが出てきた。

家来にする。桃太郎印のきび団子を食べさせて、服従させる。たけこぷたーを大量にぽっけとから出させて、闇市で売る。

 4.殺し屋に『死に方くらい選ばせてやるよ』と言われた。

デモンストレーションしてみせてよ!と言う。

 5.見知らぬ大富豪に遺産を残された。

ありがとう。これを老後の蓄えにするよ。

 6.初対面で『B型?』と聞かれた。

ちくしょい・・・どうせ俺なんか、B型の顔だよ。

 7.預金残高が増えていた。

今ふと正気に戻ってみると、HOMA君は預金通帳なるものを、もっていませんでした。アーメン。

 8カモシカのような足にされた。

ふっ、いい度胸じゃないか。弟子にしてやる。

 9.前に並んでいる人に『俺の背後に立つんじゃねえ!』と言われた。

大丈夫。僕に、憑いてますから♪。

 10.『犯人はあなたです!』と言われた。

そう。犯人は、何を隠そう、この私なんです。おほほほほほほほ。(高笑いを残し、闘争) 

 11.鏡を見たら目がヤギ目になっていた。

とりあえず、もの憂げにメーと啼いてみる。あれ?羊か?

 12.尻の割れ目が増えていた。

うっ!?

 13.偶然手にとった本の主人公が明らかに自分だった。

ふっ、ついに俺もここまで来たか。そちも悪よのぉ。

 14.モナリザがこっちを見てる気がする。

おまえなんて、ダヴィンチコードの手先だろ!

 15.バトンを回す人。

勝手にし腐れ!
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by sinsekaiheto | 2007-02-13 13:00

あなたと出会わなかったら・・・(完)


 BACK
 
 彼のお葬式には、同学年の生徒が、たくさんたくさん、出席していた。

 私と彼と、同じクラスだった生徒もいて、あの教室の延長線上にここはあるのだ、そんなことを考えて、私はクラスメートに囲まれて笑っている、いつもの彼を目で探した。止めることなど、できなかった。


 彼がいない、どうしても、みつけられない。なんで?今度からは、ちゃんとするって、私に言ってくれたじゃん。うそつき。嫌だよ、どうしてどこにもいないのよ、勇気!



 彼のいない、沈んだクラスメートの雰囲気は、もう、我慢ができなかった。彼と仲の良かった女の子たちが、たくさんたくさん、泣いていた。隣にいた、美紀も、泣いていた。私を一人にしてはいけない、と思ったのか、美紀はずっと私の傍にいてくれた。


「子どもを、助けたんだって」

 涙も拭かずに、美紀が言う。

「お母さんを見つけて、走り出した子どもが車に轢かれそうになって、それで、事故にあったんだって・・・」

 落ち着いた声だった。それでも、美紀は泣いているのだ。美紀の涙を、私は今、始めて見た。

「勇気って、そういうところ、あったよ。何も、考えられなくなるんだね。馬鹿だよ、勇気は。でも、そこがすごく、すごく、優しかった・・・」

 胸が、熱くなった。


「ねえ、真央。見てあげてよ。勇気の顔。すごく、優しい顔、してるから」


 私は、頷いた。ふらふらと、歩いていって、勇気が眠っている棺の中を、覗き込んだ。


 腕を組まされて、本当の仏様みたいだ。ねぇ、勇気。またいつもの悪ふざけなんでしょう?そうやって、急に起き上がって、またわたしのことをおどろかせようって、チャンスをうかがっているだけなんだよね?ねぇ、答えてよ、勇気。死んじゃったなんて、嘘だって、言ってよ!


 私は、勇気の顔に掛かっている、白い布を、取った。


 勇気の顔は、どこから溢れ出してきたんだろう、涙の中に、滲んでゆれていた。


「ゆうきっっっ・・・」


 ああ、本当に勇気は、死んでしまったのか。唐突にそう理解して、涙が、溢れ出してきた。

 もう、限界だ。私は、くるりと踵を返した。


「ちょっと、真央?」


 美紀の、驚いた声が聞こえた。でも、私は振り向かなかった。振り向かないで、走り続けた。


*     *


 一人で、泣きたかったのかな。また、私はここに、戻ってきたのだった。


 いつかの夢で見た、あの夕陽と、同じ赤が、そこにあった。


 小学校も、
 私の家も、勇気の家も。
 私の通った幼稚園も、
 懐かしい場所が、全部、そのまま、残っていた。

 赤い光を受け止めて、輝いていた。


 勇気。あの頃みたいに、また、あんたと、この夕陽、見たいよ。だって、こんなにもきれいなんだよ。勇気。戻ってきてよ。戻ってきて、勇気。


 赤い夕陽は、何も語ってはくれなかった。私は、ただただ、涙を流した。ぼんやりと視界が揺れることも気にせずに。涙をぬぐうことも、しなかった。


 この空は、あの頃の空と、一体どこが違うのだろう。そんなことを考えては、涙を流した。涙を流したから、悲しくなった。


勇気。私たち、もう少し大人だったらさ、きっと、もっとうまくやれたよね。すこしだけ、子どもすぎたよね。つまらないことで喧嘩して、つまらないことで、泣き出して。でも、あの頃のあんたがいなかったなら、今の私って、・・・いないんだよね。

もう戻らない日々がある。

大切な人も、手放したくない時間も。

いつまでも私の中で眠ってる。


 今は、それでいいなんて言えないけれど、いつか、私の中で、彼が思い出に変わったら、少しだけ、笑うことだってできる気がする。


 ごめんね、勇気。助けれあげられなくって、ごめん。勇気の気持ちに、気付いてあげることができなくて、ごめん。私の気持ち、伝えることができなかったよ、それも、ごめん。


 勇気。いつだって、弱い私のことを、支え続けてくれていたよね。泣き出しそうな私に、いつだって手を差し出してくれたよね。ありがとう。伝えられなかったけど、ずっと、あなたのことが、好きでした。


 夕陽が、地平線の向こうへと、消えていく。
 頬を撫でる風が、冷たかった。

 勇気・・・。

 あなたと出会えて、私、本当に、よかったよ。


                            あなたと出会わなかったら  (完)

                                       扉へ
                                                     
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by sinsekaiheto | 2007-02-11 06:33

あなたと出会わなかったら・・・(7)

 
 BACK

 
 電話の、ベルが鳴り響く。
  
 不吉な音だ。

 私と、彼のとの仲を裂く、不吉なベルの音だった。


 あなたと出会わなかったら・・・。


*                  *

 姉に、牛乳パックを買って来い、と家を追い出された。

 僕は、近くにあったコンビニエンスストアまで走り、牛乳とインスタントのラーメンをいくつか買った。家には、今は姉しかいない。両親は、結婚記念日の旅行だとかのたまって、朝から、どこかへ行ってしまった。


 清々しい朝だった。空は透き通るほどに青く、風は、ひんやりと気持ちがよかった。

 そのときの光景が、ずっと瞼に焼き付いている。

 コンビニから出てきたところにある道路を、まだ六歳くらいの小さな子供が、渡ろうとしているところだった。

 横からは、大型のトラックが、ものすごいスピードで、走って来ていた。

 危ない!と思う暇もなかった。思うよりも先に、体のほうが動き出していた。


 急ブレーキの音が聞こえた。長く尾を引くクラクションが、響いた。


 悲鳴が、聞こえた。突き飛ばした子供の、驚きに染まった泣きそうな顔。


 そして、世界から、音が消えた。


 引き伸ばされたかのように、すべてがスローモーションで、流れ出した。


 体に衝撃を感じて、あ、と思う暇もなく、僕は空中に放り投げられていた。



 がすん、と体がアスファルトに叩きつけられて・・・。


 空が見えた。どこまでも透き通っていきそうな、そんな空だった。


 なぜか、君の顔が頭に浮かんだ。泣き出してしまう前、あの頃の君がよく見せていた、あのくしゃりと歪んだ、笑顔だった。



*     *


「ねぇ、真央!どうしよう、どうしよう。勇気が、勇気が」


 ベルの音が、どうしようもなく、鳴り響いていた。

「真央!まおっっっっ」


 受話器の向こうで、美紀が泣きじゃくる声が、聞こえていた。


「美紀・・・、どうしたの・・・?」

 聞きたくは、なかったよ。その言葉を言ってしまうと、今まで止まってくれていたものたちが、猛スピードで動き出してしまいそうだったから。


 ねぇ、何であんな夢を見たのかな。勇気。私、わかんないよ。あんたの気持ちも、あんたが、考えてることも。全部、わかんなくなっちゃったよ。


 あの日見た夕陽の美しさは、まだ私の胸の中にしまってあるというのに、どうしても、彼の笑顔だけが、思い出せない。


「勇気が、勇気が、死んじゃったよー」


 私は、その時、どうしたのだろう。

 
 がたん、と天地がひっくり返ったような気になって、文字通り頭が真っ白で。

 私の手から、受話器が地球に吸い込まれるように、落ちていった。


 受話器が床にぶつかる、がつん、という硬い音が、聞こえた。

 何も、考えることはできなかった。私は、ただただ呆然と、壁に貼り付けてあったカレンダーを眺めていた。


 嘘だ。ユウキガシンデシマッタダナンテ、ソンナコトハ、ウソダ。

 私の頭は誤変換で固まってしまったパソコンみたいに、動かなくなってしまった。


 涙は、出なかった。実感も、何も、なかったのだ。



 あと、五日で、彼の十六歳のたんじょうびだったのに・・・。


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by sinsekaiheto | 2007-02-09 05:36

あなたと出会わなかったら・・・(6)


 BACK

 「はぁ?抱きしめられた?」

 電話口から聞こえてくる、美紀の声。

「どして?」
「どして?って・・・、成り行き上、かなぁ?」
「成り行きってあんた・・・。どうしたのよ、それ」

 家に帰って、ご飯を食べてからすぐに、美紀の家に電話を掛けた。


 電話口で、美紀は大げさなため息を吐いた。


「何があったのよ。っていうか、前言ってたことと、辻褄があってないってこと、わかってる?」
 

 わかってるよ。それくらい。


「・・・うん。ごめん」

 ミキが、黙り込んだ。私は、何だか取り残されたような気分になった。


「別に、謝んなくてもいいよ。ねぇ、真央。真央はちょっと、うじうじしすぎだよ。何があったのかなんて知んないけどさ、それじゃあ、勇気が可哀相だよ」

「うん。そうだよね」

「ああ、もう。まあいいや。なんか、もうどーでも。あたし、疲れたから切るね。また明日、学校でね」

「・・・うん。ばいばい」

「ばいばい」

 そう言って、美紀は電話を切った。

 私は、つーつーという音を耳に押し付けたままだった。

 この音が、消えてしまえば良いのに。意味も無いのに、そんなことを考えてしまっていた。


 ああ、どうして私は、こんなにも弱いのだろう。
 うじうじと悩むようなことじゃないのに、
 どうしても、考えることを止められない。
 あのとき、彼の背中を見送ったときに感じた不安も、
 何度も、何度も、否定しようとしているのに、
 やっぱり、なんか無理だ。


 私は、ベッドに倒れこんだ。ぱしゅっと、空気の抜ける音。


 私は、このとき何も知らなかった。


 あのとき感じた不安の意味も、
 これから私に降りかかる、悲しすぎる現実も、
 何も、何も。

 あなたと出会わなかったら・・・

*     *



「待ってよ!勇気!」
「もうすぐだよ、真央。ほら、天辺だ!」

 耳元で、あの頃の懐かしい彼の声がしていた。
 ああ、夢だな。悲しいくらいに、すぐにわかった。
 今よりずっと、視界が低いよ。彼の背も、私の背も。


 これは、まだ私が、彼の背を抜かす前の頃の、夢なんだ。

「もう、勇気!早いって言ってるじゃん。ちょっとくらい、待ってよ」
「ごめん、真央。でもさ・・・」

 彼は、私の手を引いて、その場所まで、連れて行った。

「真央に見て欲しかったんだ」

 彼が指差した、広がっていく視界の先に、それはあった。
 

私は、息を呑んだ。



 遠くのほうに、小学校が見えた。
 私の家も、勇気の家も。
 私の通った幼稚園も、
 懐かしい場所が、全部、赤く染まっていた。


 今、唐突に、思い出していた。
 彼が、そこに連れて行ってくれたこと。


 あの、美しすぎた、夕焼けも、全部。

「すごい!すごいね、勇気」

「だろ?」

 なんだって彼は、そんなにも、潔く笑うことができるのだろうか。

 夢の中の彼は、私の記憶からすっぽりと出てきたかのように、くっきりとした輪郭だった。


「ねぇ、勇気!ここを、あたしたちの秘密の基地にしようよ」
「秘密の基地?」
「うん。そうだよ」


 幼い頃の私は、日に焼けていて、真っ黒で、それでも、ああ、やっぱり私だな。


「うん。いいな、それ。秘密基地」
「なんか、わくわくするよね」

 彼は、笑っていた。私も、笑っていた。

 それから私たちは、夕陽が落ちるのを、ずっと眺めていた。
 手をつないで、寄り添いあって。

 二つ並んだ影法師が、くっきりと、地面の上に刻まれていくのを、眺めていた。

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by sinsekaiheto | 2007-02-08 12:35

あなたと出会わなかったら・・・(5)


 BACK

「真央・・・まお!」

 彼の声が遠くで聞こえる。

「雨、降ってるよ」

・・・知ってる。だから、困ってたんだもん。

 雨の音につられて顔を上げたら、見慣れた彼の横顔が、そこにあった。



あなたと出会わなかったら・・・。




*     *

 
 下足ロッカーのところまで下りていくと、一人ポツリと佇んで、雨止みを待っている彼女がいた。

 僕の手にぶら下がった傘が、カツンカツン、と音を立てる。

 彼女が振り返りそうな気配はなかった。激しくなる雨を見つめて、ただぼんやりとしているのだった。

 雨の音、蛍光灯の黄色い光。

 僕は少しの間、我を忘れた。

 あまりにも、そうしている彼女の姿が、美しかったから。

「まお・・・。・・・真央!」

 気がつけば、思わず叫んでいた。

 ビクッと身体を震わして、彼女が振り返る。

 彼女の瞳には、驚きと戸惑いとが、映っていた。



「何やってんだ。こんなところで」


 ざあざあという、雨の音。不安そうな、彼女の瞳。


「傘を、忘れちゃって」


 彼女は、そう小さな声で呟いて、目を伏せた。


 靴を履き替えて、彼女の傍まで行くと、彼女は僕を見上げていた。中学一年生のときに抜かした身長は、今じゃもう10cm以上も、僕のほうが高くなっている。


「多分、暫くは雨、止まないよ」


僕が言うと、彼女は小さく頷いた。


「うん。わかってる」


 それでも彼女は、そこで雨が止んでくれるのを、ずっとずっと待っているのだ。


「送ってく」

 僕は彼女に向けて、そう言った。



「え、でも・・・」


 蛍光灯に照らされた彼女の横顔が、痛いほどにくっきりと、僕の瞳に焼き付けられた。

「悪いよ、そんな」
「いいよ、べつに。どうせ家、近いんだから」
「・・・」


 黙りこんでしまった彼女に、パッと僕は傘を広げた。


「ほら。入れよ」


 少しだけ考えるような素振りを見せて、それから小さく頷いて、彼女はおずおずと、僕の傘の中に、もぐりこんで来てくれた。



*     *


 雨にぬれたアスファルトの上を、ひたすら、下を向いて歩いていた。

 あたしの隣には、傘をさしてくれる、彼の左手。


「ごめん。濡れちゃうよね」

「・・・」

 それには答えずに。彼は私のほうを見る。


「美紀から聞いた」


 しとしと。雨が傘にあたって、音をかなでる。


「最近、元気ないんだって?」


 美紀の顔が、頭に浮かんだ。



「・・・そんなこと、勇気には、関係ないじゃん」

 言ってしまってから、はっとなった。

 彼は悲しそうな顔をして、笑っていた。


 しとしとと降る、雨の音。


「ご、ごめん」


 謝るぐらいなら、言わなきゃよかったのに。


「いや・・・、別に本当のことだから」

 そうなのかな、本当かな。

 自分自身に問いかけたその言葉は、答えを見つけることもできずに、私の中をさ迷った。



「あのときのこと、まだ根に持っているのか?」


 彼は言った。それが、私にとって、残酷な問いだとも気づかずに。


 つまらない喧嘩で、意地を張って、遠回りして、とうとうここまで来てしまった。

 もう一度、あの頃に戻りたい。

 まだ、子どもだった頃の私たちに。

 泥まみれで、無邪気に笑っていられた頃の、私たちに。

 私は黙って、雨にぬれた彼の学生服を見つめていた。



 バスに乗って、バスに揺られて。自分たちの町が見えてきて、バスが止まるそのときまで、私たちは、黙り込んだままだった。

 そこにポカリとできた沈黙が、何よりも雄弁に、私たちの中にある隔たりを物語っていた。

 
 いつものバス停で、バスを降りる。

 
 雨はもう、降り止んでいた。

「こうやって帰るのって、なんだか久しぶりだな」

 
 彼の声を隣で聞きながら、必死に彼の歩幅についていく。取り残されてしまいそうで、なんだか怖かった。


「小学生のときとか、近所の祭りとかに行くときに、この道通ったの、覚えてる?」


 彼は呑気に、そんなことをぺらぺら喋る。
 
 たぶん彼は困っているのだ。私があまりにも無口だから。豆腐に釘を突き刺しているみたいに、無反応だから。


 私はまた、思い出していた。沈黙に困った彼は、いつも必死に言葉をつないでいたのだった。


「覚えてるよ」


 私はつぶやいた。覚えてる。はるか遠くに遠ざかって、今にも消えてしまいそうな記憶だったけど、覚えてる。記憶の中で彼は、まだあいまいな笑みを浮かべていて、その笑みがさらにぼやけてしまうのを、私は悲しい気持ちで見つめていたのだ。


 私の家が近づいてくる。遠くに、彼の家の明かりも見える。刻々と、近づきつつある、別れの時刻。


 家の前で立ち止まって、私は彼にお礼を言った。

「ありがとう。ごめんね、わざわざ」

 そんな私の言葉に、彼はすっと視線を外し、

「謝るなよ。本気で、ごめんって思っているわけじゃ、ないだろ」


 心の中を見透かされたような気がして、ドキッとなった。


「じゃあ、どうしたら・・・」
「何も言わなくていいよ」

 素っ気無く、彼はそう言った。彼の瞳が、私の心を貫いて、何だか、変な感じだ。

 私の目の前にいる彼は、多分もう、あの頃の彼じゃない。


「何も言わなくていいから。普通にしてくれているだけで、充分だから」
「でもっ!!!」
「でもじゃない。なあ、なんでそんなにすぐに自分を隠そうとするんだよ。そんなの、お前らしくないよ」


 彼は、怒っているのかな。私が、余りにも弱いから。


「隠してなんか・・・」
「いいや、隠してる。さっきから、一度も俺の顔を見ようとしない」


 ああ、そっか。私はずっと逃げ続けていたんだな。何から逃げているのかもわからずに。でも、今やっとわかった。私は、彼と真正面から向き合うことから、逃げていたのだ。


「逃げんなよ!ちゃんと俺の顔見ろよ!真央!!」


 捕まれて腕が、よじれて、悲鳴を上げそうになった。私が顔をしかめたのを見て、少し力を弱めてくれたけど、彼は、私を離してはくれなかった。


「勇気はずるい」

 私は彼と視線を合わせられないまま、ポツリと小さく呟いた。


「・・・ずるいって?」


「だって、いつも自分ばっかりじゃない。自分の言いたいことだけぺらぺらしゃべって、それでいつも満足してるんじゃない。少しは私の気持ちだって、考えてよ!」


 なんで、何で?何で涙が止まらないのかな。私は今、何がこんなにも悲しいのかな。わかんないよ。彼の表情がわかんない。私は今、なんて言ったかな?わからない。わからないよ。


 ただ、彼の腕が、私の身体をぐいっと引っ張ったことだけが、わかった。


 私は、彼の腕の中に、すっぽりと閉じ込められていた。抱きしめられたのだと、私は気付いた。


「あのさぁ、真央」

 彼の腕は、心なしか、震えているかのように、思えた。

「ごめんな」

 興奮がスーと引いていき、緩んでしまった涙腺も、何とか元通りになった。

「本当は、そんなことが言いたかったわけじゃないんだ」

 涙で濡れた頬に、風が冷たい。

「真央のこと、今でも一番、大切だよ」

 しゃくりあげて見上げた彼は、あの頃と同じ、優しい笑みを浮かべていた。

「だから俺、今度から、ちゃんとするから」

 ぎゅっと、きつく抱き寄せられて、私の頭は真っ白になった。それでも、彼の腕のぬくもりだけは、しっかりと感じとっていた。

「・・・わかった。期待しないで、まってるよ」

 それだけ言うと、彼は私を腕の中から解放してくれた。彼の腕のぬくもりは、すぐに吹いてきた風の中に、溶けるかのように消えていった。

「お休み」
「お休みなさい」
 
 彼が、手を振った。私は、遠ざかっていく彼の背中を、いつまでも瞳の中に焼き付けていた。

 どうしてかな。その時の私は、このままもう、彼と一生会えなくなるような気がしていたのだ。


 小さくなった彼の背中が、私の視界の中から消えてしまったとたん、せっかく収まったはずの私の涙が、ぼろぼろと溢れ出してきた。


                                               NEXT
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by sinsekaiheto | 2007-02-06 12:35